【企業向け】外国人インターン生インタビュー【インターン制度を使おう】
2019年6月23日日曜日
日本企業はインターンの方を受け入れるなら、事前にその方に任せる仕事を準備をする必要があります。インターンの人は海外から来る際、かなりのお金を出費して勉強しに来ています。ただ使うのでは無く、外国人の方が習得できるような環境を来る前に整えておきましょう。
今回は弊社アクティブゲーミングメディア(以下AGM)にインターン生として、アメリカから来日中のリダ・ミランダさんに、日本での仕事について、日本のインターン制度について、また日本という国が外国人と共に仕事をしていくことについてなどをお伺いしました。
元々アメリカの大学でグラフィックデザインを学んでいた彼女がなぜ日本語と英語の翻訳者になったのか、なぜ日本で仕事をしてみたいと思ったのかなど、外国人を雇用したい、または雇用している企業の方には、とても興味深く面白い内容になっていると思います。海外の人からみた日本というものを知りたい方は、是非一読してみてください。
(*はイザナウ 編集者が付け加えた説明です)
◆インターンシップとは◆
そもそもインターンシップとは、就業前に企業などで就業体験をすることです。日本ではまだまだ海外からのインターン生や、留学生のインターン生を受け入れる企業が少ない状況です。(*3 日本のインターン制度について)
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リダ・ミランダ
アメリカ オハイオ州から弊社に来ているインターン生。
インターン期間は2019年6月から3ヶ月。
ケント州立大学院の1年生で、日本語の翻訳を勉強。
大学卒業後、富山の学校で日本語教師として3年間の仕事経験が有り、日本語の読み書きはほぼ完璧。 N1取得者。
*以前、イザナウ での記事執筆を行なっています。彼女の記事をチェックしたい方はこちらから!:アメリカ人が答える!『日本で働くことは魅力ですか?』【外国人本人執筆】
ーー自己紹介をお願いします。
リダ・ミランダと申します。
アメリカのオハイオ州から来ました。今ケントステイト大学院の1年生で、日本語の翻訳を勉強しています。
25才の9人兄弟です。
大学を卒業してから日本の富山県に3年間留学しました。
その3年間は学校で英語の先生をしていました。すごく楽しかったです。
富山県はすごく綺麗だし、大阪みたいに都会じゃないから、静かでみんな優しかったです。
ーー日本語を勉強し始めたきっかけは?
たくさんの人と同じように、アニメがきっかけでした。
アメリカの大学では必ず外国語を勉強しないといけないから、私は日本語を勉強しようかなと思って。
専攻はグラフィックデザインでした。頑張れば、2つの専攻で卒業できるかなと思ったので、2つめの専攻を日本語にしました。でも、日本語を専攻している人は必ず日本に行かないといけません。
初めて日本に行った時、『日本語は素晴らしいな』『日本語に関する仕事でもできるかな』と思い始めました。
日本語という語が大好きです。美しくて。文法的に英語と全然違って好きです。大学から勉強し始めて、今で8年目です。
ーー日本で初めて仕事をしてみた(大学卒業後の3年間)感想は?いいところ、悪いところ
良いところは、私は以前の来日の際、小学校で働いていていたので会社とは少し違うと思いますけど、毎朝他の先生と打ち合わせがあって、1日の流れがちゃんと把握できたから、それがすごく好きでした。あと、多分あまり大事なことじゃないですけど、『内履き』が好きでした。海外はそのままなので床がめっちゃ汚くて。
悪いところは、病気になった時診断書が必要なところ。アメリカ人は熱はもっと高い熱の事を熱といって、日本では微熱でもすぐ帰らせてしまいました。あとは、宴会(企業でいう飲み会)に出ないといけない時、実費でめっちゃ高かったです。(強制で参加)わたしはALTで飲み会とか宴会の誘いは少なかったので、それはそれで寂しかったですけど。
ーーアメリカで日本で働く前に準備をしたこと
富山で働いた時は、JET(*1 JETプログラムとは)で申し込みしたので、富山県で働いた時は特に困ったことはなかったです。JETが『これ、これ、これ』って言ってくれたので。
今回のAGM(弊社)でのインターンの時は、自分でシェアハウスを探したり、AGMの近いところを探したり、行く前に全部のお金を払わないといけなかったり、というのがあったので、それは大変でした。
家賃、布団、カーテン、タオルなど生活にかかるお金など前もって準備しなければなりませんでした。
手続きなどは、日本に来てからやりました。市役所に行ったり。
でもメールで少し、住所などの軽い手続きはやりましたけど、ほとんどのことは日本に来てからやりました。
今回は事前に必要な手続きはシェアハウスの手続きのみでした。観光ビザだから。インターンでAGMからお金をもらってないので、観光ビザでこれます。(*2 インターン生を受け入れる際の注意点)
富山の時はJETの担当者がいたので、やり方とかは教えてくれるけど、手続きは全部自分でやりました。担当者の人が説明とか、次はこれですよ、っていうのが説明があったので、あまり大変では無かったです。たくさんの外国人はJETで日本で来ます。他にも色々ありますが、JETは日本の政府がやっているものなので、JETがベストだと思います。
ーー日本で生活してみた感想(良いところ、悪いところ)
(大阪)
公共交通機関がとても便利。オハイオの私が住んでいたところにはあまり電車とかは無くて、車はあるけど、燃料も高いし、すぐどこでもはいけないです。コンビニも便利ですね。とにかく日本は住みやすい。
(富山)
自転車で買い物するのが大変でした。日本の車の免許はもっていなかったので。乾燥機、食器洗い機もなくて、それも少し大変でした。一番難しかったのは、ゴミの分別。地域によって違いますし。
ーー日本に来る前と来た後の、日本のイメージの違い
アメリカ人は、日本はとてもハイテクな国というイメージを持っています。わたしもそうでした。
いざ来てみたら、東京の電車とかとてもハイテクなところもありますけど、日常生活や会社の中は思ったより、昔風でしたね。紙の量も多いし、FAXもまだあるし、ハンコもいつも必要だし、銀行での登録などもとてもびっくりしました。
ただ、私の大学には日本の留学生もいましたし、ルームメイトも日本人でしたので、私の場合は日本に少し慣れている部分が多かったとは思いますけど、それでもビックリしました。
ーー日本企業は英語ができない企業がまだまだ多いです。弊社AGMのように社長が外国人で、社員も7割外国人のような会社なら、外国人の扱いにも慣れているかもしれませんが、普通の日本企業が外国人を雇用することに関してどう思いますか?
外国人が日本語が話せたとしても、日本で働くことは難しいところはたくさんあると思います。
文化の違いとか。多分日本の企業は、日本語を話せる外国人を探していると思うけど、企業の方も英語が全然できなかったら実際困ると思います。
他の外国人がみんな英語が話せるわけではないし、企業は英語のレベル上げる必要もあるし、外国人は日本語のレベルをもっと上げる必要はあると思うけど、実はそれが一番大事なところではないと思います。
一番大切なところは、外国人を探すなら、外国の文化の違いをできる限りわかってあげること、外国人は日本の文化をわかることが必要。でもやっぱり、『ここは日本だからこうしないといけない、全部日本に合わせないといけない』という態度は取るべきではないし、とってしまうと難しいと思います。
文化、宗教もあるし。その外国人の違いを尊敬して(Respect)進めることが大事だと思います。
ーー今回AGMに来てまだインターンの途中ですが、今のところで感想はありますか?
実はアメリカの会社でも3ヶ月グラフィックデザインの会社でインターンをしたことがあったんですが、その時はやることはあまりなくて、ずっと座ってフェイスブックを見てただけだったので、日本のインターンに来る前にそれも少し心配したんですが、ここに来てちゃんと「ミランダこれをやってください」というちゃんとした仕事があったので、嬉しかったです。
アメリカの会社のインターンでは仕事もあったんですが、グラフィックデザインの仕事を希望でインターンに行ったのに、デザインの仕事が少なかったです。写真の整理やインターンについての仕事とかばかりだったので、グラフィックデザインのインターンで行ったので、グラフィックデザインの仕事をしたかったです。(*2 インターン生を受け入れる際の注意点)
ーー外国人で日本にインターンに来たい方にアドバイスはありますか?
最初は学校でしっかり日本語の勉強をしておくこと。あとは、大事なのは積極的にインターンの機会、日本に来る機会、日本語を勉強する機会を自分で探すこと。
例えば私だったら、AGMでインターンできるかわからなかったけど、AGMの問い合わせフォームに行って自分から『インターンできますか』と聞きました。
それが大事だと思います。あとは諦めないこと。本当に難しくて難しくて『もうやだ、アメリカで働こう』と思う人がたくさんいると思います。
だから本当に日本で働きたいなら、失敗しても進めること、諦めないこと。(*3 日本のインターン制度について)
ーー最後につたえたいことは
これらのこと以外でも、日本で働くことについて不安がある人もいます。私もそうでした。私の夢は翻訳者になることです。そのためにどうしても日本での翻訳経験が欲しかったので日本で留学したり、働いたり、インターンシップを探しました。
でもその時に以下のような不安が私の頭の中をよぎりました。
「みんな私のことを仲間に入れてくれてたかな」
「外国人としてどういう風にみられているかな」
人種差別だったとは思っていません。
ただやっぱり文化が違って、どうしても「私はみんなと違う」という気がして、そういう風に思われたという気もしました。
それに日本人にとって、『外国人=白人』というイメージが多いですから、たぶん黒人は白人と違うことを経験すると思います。
その不安を無視することは難しくて、よく友達や同僚から同じような悩みを聞きます。(*4 外国人への見方)
また、外国人、特にアメリカ人はすごく積極的な、フレンドリーなイメージがあって、個人的にそういう風に期待されて困ります。私はとてもシャイだからです。
誰かが上記のようなこと感じたら『日本で働くより自分の国で働く方がまし』と考えてしまう人もいるかもしれません。
日本で働くとなると、言葉の問題だけではなく、いろいろ難しいことがあります。日本で働くことに魅力はありますが、問題が多いため「やめておこう」という気持ちになってしまい、その事が問題だと思います。
日本は外国人材を増やしたいなら、どうかこの問題をのり越えなければなりません。
*2 インターン生を受け入れる際の注意点:インターン生を企業が受け入れる際は、前もってインターン生の仕事を準備しておくことが大切です。今回ミランダがグラフィックデザインのインターンの時の様な苦い思いをしなかったのは、AGMのスタッフがミランダさんに仕事を準備していたからです。ミランダさんはわざわざ大金をかけて、翻訳の勉強をしに日本に来ているので、『無駄な時間だった』と言わせるわけにはいきません。このように日本企業はインターンの方を受け入れるなら、事前にその方に任せる仕事を準備をする必要があります。インターンの人は海外から来る際、かなりのお金を出費して勉強しに来ています。ただ使うのでは無く、外国人の方が習得できるような環境を来る前に整えておきましょう。
*3 日本のインターン制度について:AGMはインターンの問い合わせがたくさん来ます。ゲームのプログラマー、マーケティングが割合的に一番多く応募があります。弊社もタイミングが合わないと入れませんし、マーケティングは一言でいうと幅が広いし、大学生が来て経験がなくてマーケティングができるのか、というのもあるので、なかなかマーケティングやセールスのマーケティングを入れることはしませんが、翻訳やエンジニアはタイミングがあればインターン生を入れます。
まずインターンの問い合わせが来たら、履歴書を見てみる→各部署に必要かどうか確認する→いる場合は連絡を返す。という流れになっています。
日本の会社はあまりインターン生を募集をしていないという現状があるので、ご存知でない方も多いかもしれませんが、『日本に来てる留学生がインターンで働く』際には、海外からインターン生を呼ぶのと日本は大学とのインターンシステムが全然違って、日本の留学生の場合、最大2週間しかインターンとして働くことができません場合が多いです。
ミランダのように3ヶ月、もしくは6ヶ月のような長期で来る場合、それなりに何かしら習得してもらえますが、2週間で何ができるかといっても、実際何もできません。(学校によっても多少違いますが)
そういう意味で日本はインターンのシステムは整っていないし、留学生も自分が何かを発揮する前に終わってしまいます。
ただ、日本企業が外国人を雇用したいと思ったら、インターンから始めることもお勧めします。例えば、国は限られてきますが、アメリカのような観光ビザで来れる国の人は夏休みの間だけきてもらうことも可能です。
弊社はインターンから社員になる方も多いです。学生で大学を卒業していない人は、『インターン→アルバイト→社員』という段階をとって社員として受け入れる方法は大いにありだと思います。
*4 外国人への見方:日本人は『外国人=白人』というイメージを持っている人が多いのが現状。たとえば英語の授業でフィリピン人の方が来られたら、『えっ』と思ってしまう人も多いかと思います。ただ、そのような壁は取り払ってはいけますが、どうしてもそのようなイメージができてしまっているという事実はあります。それは外国人の方も感じてしまっていることです。
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