外国人雇用とともに付随する、外国人の子供に対しての課題【血統主義と出生地主義】
2019年3月9日土曜日
外国人が増えるということは、その外国人の子供も増えるということです。これから企業で外国人を雇用する予定の方、またすでに外国人を雇用している方は、企業が外国人を雇用した際に『その子供』の為にやるべきことやるべきことがあります。
*この記事はIZANAUを運営している株式会社アクティブゲーミングメディア(130人中6割が外国人社員)のスタッフによって作成されています。
日本でも外国人雇用が盛んになることで、外国人がかなり日本に増えることは、みなさん想像できると思います。
外国人が増えることで様々な現象や課題が生じることになると思いますが、今回の注目点は、外国人の『子供』について。
日本人同士の夫婦で子供を持つ方は、今の日本でも『子供を育てる』ことに対する問題点や不満、また改善するべき点をそれぞれ親としてお考えの人も多いと思いますが、外国人が日本で子供を育てるということは、生半可なことではありません。
特に日本という国際化が進んでいない国で、子供を育てるハードルは低いとは決して言えない状況です。
これから企業で外国人を雇用する予定の方、またすでに外国人を雇用している方は、企業が外国人を雇用した際に『その子供』の為にやるべきことがあります。
今回は日本における外国人の子供について、また外国人を雇用した企業が覚えておくべき外国人の子供さんに対してのケアの仕方をご紹介しようと思います。
外国人雇用とともに付随する、外国人の子供に対しての課題
1:血統主義と出生地主義
血統主義、出生地主義という言葉をご存知でしょうか。
血統主義とは出生する場所がどこであれ、親の国籍が子供に引き継がれるというシステムのことをいいます。
例えば日本は血統主義なので、親のどちらかが日本人であれば、日本で生まれても、外国で生まれても、その子供は日本国籍となります。
別の視点で言えば、外国籍を持つ夫婦が日本で子供を出産しても、血統主義により日本の国籍がもらえない、ということです。
出生地主義とは両親の国籍に関わらず、その国で生まれた子供には、生まれた国の国籍が与えられるシステムです。
たとえば両親が日本人でも、アメリカで子供が生まれれば、その子供はアメリカの国籍を取得することができます。
血統主義の国:日本、アイスランド、イスラエル、イタリア、エチオピア、エルサルバドル、オーストリア、オランダ、ガーナ、ギリシャ、スウェーデン、スペイン、スロバキア、タイ、中国、韓国、デンマーク、トルコ、ナイジェリア、ノルウェー、ハンガリー、フィリピン、フィンランド、チェコ、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア
出生地主義の国:アメリカ、カナダ、ドイツ、イギリス、フランス、アルゼンチン、ブラジル、アイルランド、グレナダ、ザンビア、タンザニア、パキスタン、バングラデシュ、フィジー
*2018年10月にはアメリカのドナルド・トランプ大統領が出生地主義を廃止する意向を表明しているが、それには同国憲法修正第14条の改正が必要であり、議会の内訳を考えればすぐ実現する可能性は低いとも見られているが、トランプ自身は大統領令をもって廃止が可能と主張している。(参照:ウィキペディア)
2:外国人を親に持つ子供の在留資格
日本という国は上記で述べたように、血縁でその子供の国籍を決める国です。
ただし、ママが日本人か、パパが日本人か、で子供の国籍は少し違いが生じてきます。
・日本人のママ × 外国人のパパ の場合
両親が結婚していても、結婚していなくても子供は「日本国籍」となります。
「日本人のママのお腹から産まれたら日本人」という考え方のようです。
ただ子供を2重国籍にしたい場合は、22歳までどちらの国籍にするかを決める猶予期間があり、22歳までは2重国籍も可能です。
・日本人のパパ × 外国人のママ の場合
両親が結婚している場合は子供は日本国籍。
両親が結婚していない場合は子供は外国籍となるようです。
「子供を出産してから結婚しよう」と思っているとしても、子供を産む時点で結婚していなかったら、子供は外国籍となります。
つまり、その場合外国人のママと同様、子供も在留資格が必要になります。
・外国人のパパ × 外国人のママ の場合
もうお分かりかと思いますが、外国人同士の両親から産まれた子供は、どう頑張っても日本国籍は与えられません。
子供も在留資格が必ず必要になります。
*以上はVisaConサービス大阪の情報を元にさせていただいております。
3:外国人を親に持つ子供が増えることで生じる日本の課題
日本でこれから外国人の人材が増えてくる中、外国人の子供、またダブル(日本人の親 × 外国人の親)の子供が増えてくることも予想されます。
以前の記事、【日本の未来】外国人がこのまま増え続けたらどうなるかを予想してみた!でも取り上げましたが、外国人が増えることで発生する「中期10〜20年後」の影響として、ダブルの子供たちや、完全に外国人の子供が増えることにより、教育現場での学校、先生の対応能力が必要になる、という話をしました。
宗教上で普通のご飯を食べられない子がいたりとか、礼拝、その他対応しなければならないことが出てきます。
ヨーロッパや、外国(日本以外の国)からしたらすごく当たり前のことで、「この子はハラルしか食べられない」などは外国では当たり前に対応していますが、日本には全くその対応能力がありません。
外国では学期が始まる前に、親が食べられないものや、その他必要になってくるもの、などを学校側に伝えて、学校はそれに対応したものを給食で出し、対応します。
日本でこのような対応ができるまでなるのかどうか、いつできるのか、まだまだ課題は山積みです。
4:企業が外国人を雇用した際に『外国人の子供』に対しての配慮
『外国人を雇用する場合、その子供への学校などへの案内もおこなうこと』
基本的に日本でもちゃんとした企業は、雇用した外国人だけではなくその子供達への配慮おおこなっています。
外国籍をもつ親(社員)の子供の出産時のみならず、どの学校に入れたらいいかなどの、子供の育成も含めて企業がすべて案内します。
(もちろん弊社も外国籍を持つ親を雇用する場合は、その子供達への案内をおこないます)
日本企業のいくつかは「そこまでやってやる必要はないんじゃないのか」と思うかもしれませんが、逆に日本人が海外に同じように仕事で行った場合、海外の企業は必ず自分の子供の配慮もおこなってくれます。
それにより、外国人が日本に来たら「子供への案内も会社がやってくれる」ということを当たり前に思っています。
そもそも外国人が少ない日本という国にはまだ馴染みがないかもしれませんが、「海外では当たり前なので、雇用する外国人も当たり前に配慮してもらえると思っている」と前もって認識しておいた方がいいと思います。
5:まとめ
企業は外国人を雇用する際、当たり前に日本人と同じように就労規則を適用するなど、外国人に対しても配慮するべき点もありますが、そのお子さんに対しても配慮する必要があります。
これは上記でもでも述べたように海外でも当たり前に企業がおこなっていることです。
わたしの知人でオーストラリア人を両親に持つ方がいます。その方は日本で生まれ、日本で育ち、さらに日本以外の国に行ったことすらないのに、オーストラリア人です。
これは今の日本の法律では仕方のないことかもしれませんが、例えばこのようなケースは『3年経ったら日本国籍も取得できる』など、対策をとってあげないと、本人は日本しか知らないのに、どうやっても日本国籍はもらえないということになってしまします。
帰化という方法もありますが、これにも賛否両論あります。条件をクリアすれば日本の国籍は取得できますが、もう1つの国籍(この場合はオーストラリアの国籍)を捨てなければならないという、本人からすれば選びたくても選べない苦渋の決断を取らなければならないという現実があるのです。
日本で生まれ、また日本で育つ外国人の子供は日本人が経験しないようなことも、経験します。
日本人が海外で子供を育てる場合も、同じような経験をします。もしあなた自身が海外に移住し、その移住した地でよくしてくれたら、もちろんその地に好感を持つでしょう。
わたしたちができる限りのことをする、ということも外国人の人材が日本に定着する1つのきっかけとなるのではないでしょうか。
About the Author
外国人のプロを日本に紹介することが、私のミッションであり、宿命である