法務省が公表した『特定技能外国人受け入れに関する運用要領』を少し簡単な日本語で説明してみた。【前編】
2019年3月23日土曜日
『行政の文言は理解しにくいし、同じことを何度もいう』と感想をお持ちの人もいると思いますので、今日は今回公表された『特定技能外国人受け入れに関する運用要領』を、少しわかりやすくまとめてみたいと思います。
*この記事はIZANAUを運営している株式会社アクティブゲーミングメディア(130人中6割が外国人社員)のスタッフによって作成されています。
特定技能という、在留資格が新設されますが、『やっと!』法務省よりその詳細が公表されました。
特定技能ビザという新しいビザが加わったことで、今まで社員として外国人を雇用できなかった介護や、飲食店、建築などでも特定技能外国人社員として雇用できるようになります(2019年4月より)
これにより、特定技能ビザで外国人を雇用したいと思っている企業も多いと思いますが、その企業自身も今回公表されて詳細について、理解しておく必要があります。
ただし、いつも『行政の文言は理解しにくいし、同じことを何度もいう』と感想をお持ちの人もいると思いますので、今日は今回公表された『特定技能外国人受け入れに関する運用要領』を、少しわかりやすくまとめてみたいと思います。
*今回は余すところなく全て順番通りにお伝えしますが、170ページと長いので【前編】【中編】【後編】にわけます。
【前編】第1章〜第3章
【中編】第4章〜6章
【後編】第7章〜第10章
『少しわかりやすい』特定技能外国人受け入れに関する運用要領
第1節 基本方針等の策定
第1 基本方針
第2 分野別運用方針
第3 分野別運用要領
第2節 受入れ分野等
第1 受入れ分野
第2 外国人材に求められる技能水準等
第3 受入れ機関(=特定技能外国人を雇用する会社*1)の責務
第3節 特定技能外国人受入れ手続の流れ
第4節 特定技能外国人の受入れ後に特定技能所属機関等が行う手続
第1節 「特定技能1号」
第2節 「特定技能2号」
第3節 複数の特定産業分野の業務に従事する場合の取扱い
第1章:在留資格「特定技能」を作った目的
国内だけで、人材確保ができないくらいに、中小企業の人材不足が深刻化してるので、専門性と技術を持ち、即戦力となる外国人を受け入れる必要があるため。
第2章:制度の概要
第1節 基本方針等の策定
第1 基本方針
政府は、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号。以下「法」 という。)第2条の3第1項に基づき、特定技能の在留資格に係る制度の適正な、運用を図るため,「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針につ いて」(平成30年12月25日閣議決定。以下「基本方針」という。)を策定しています。
基本方針には、
①特定技能の在留資格に係る制度の意義に関する事項
②人材 を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図 るべき産業上の分野に関する基本的な事項
③当該産業上の分野において求められる人材に関する基本的な事項
④特定技能の在留資格に係る制度の運用に関す る関係行政機関の事務の調整に関する基本的な事項
⑤特定技能の在留資格に係 る制度の運用に関するその他の重要事項
が定められています。
第2 分野別運用方針
法務大臣は、法第2条の4第1項に基づき、特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、各分野を所管する行政機関(以下「分野所管行政機関」 という。)の長並びに国家公安委員会、外務大臣及び厚生労働大臣と共同して、各分野における「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針について」 (平成30年12月25日閣議決定。以下「分野別運用方針」という。)をそれ ぞれ策定しています。
分野別運用方針には
①人材を確保することが困難な状況にあるため外国人に より不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(以下「特定産業分野」という。)
②特定産業分野における人材の不足の状況(当該産業上の分野において人材が不 足している地域の状況を含む。)に関する事項
③特定産業分野において求めら れる人材の基準に関する事項
④在留資格認定証明書の交付の停止の措置又は交 付の再開の措置に関する事項
⑤その他特定技能の在留資格に係る制度の運用に 関する重要事項が定められています。
第3 分野別運用要領
法務省、警察庁、外務省、厚生労働省及び各分野を所管する行政機関は、各分野における分野別運用方針について細目を定めた運用要領(平成30年12月2 5日策定。以下「分野別運用要領」という。)をそれぞれ策定しています。
第2節 受入れ分野等
第1 受入れ分野
1. 介護分野
2. ビルクリーニング分野
3. 素形材産業分野
4. 産業機械製造業分野
5. 電気・電子情報関連産業分野
6. 建設分野
7. 造船・舶用工業分野
8. 自動車整備分野
9. 航空分野
10. 宿泊分野
11. 農業分野
12. 漁業分野
13. 飲食料品製造業分野
14. 外食業分野
*特定技能2号の受け入れ対象は
6. 建設分野
7. 造船・舶用工業分野
の2つのみとなっています。
第2 外国人材に求められる技能水準等
(1)特定技能1号を取るための能力
相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められます。
試験に合格すること。
日常会話ができ、生活に支障がない程度の日本語能力をもっていること。
業務に必要な日本語力。
(2)特定技能2号を取るための能力
特定技能1号よりも、さらに熟練した技能が求められます。
例えば、自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準のものをいうとされています。
こちらも試験に合格することが必要。
第3 受入れ機関(=特定技能外国人を雇用する会社*1)の責務
(1)受け入れ機関の決まりごと
外国人の受け入れ機関、つまりは受け入れる会社(=特定技能所属機関といいます)は、上記の1章の説明した、外国人を雇用する意味を理解し、日本人と同等額以上の報酬を与えるなど、法律のもとで雇用すること。
また、特定技能所属機関は受け入れ後の状況を、随時、地方出入国在留管理局に届け出なければならない。
(2)支援の実施
特定技能所属機関は、職業生活上、日常生活上、また社会生活上を実施する義務(=1号特定技能外国人支援)があります。
そのため、1号特定技能外国人支援計画と言うものを作成する必要があります。(作成は他のものに委託可能)
*1 外国人の受け入れ機関=特定技能外国人を受け入れる会社=特定技能所属機関
第3節 特定技能外国人受入れ手続の流れ
特定技能外国人の受入れの申請は,平成31年4月1日から、全国の地方出入国在留管理局(空港支局を除く。)で受け付けます。
また、登録支援機関(*2)の登録申請 ついても同様です。
・特定技能外国人が試験に合格した後、特定技能所属機関(受け入れる会社)と外国人は契約締結できる。また、試験前にでも企業は内定を出すことができる。
・在留申請に必要な書類はこちら
この申請は、特定技能外国人を雇用した企業が代理人となって行うこと。
また、在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請については、本人又は申請取次者 等が,地方出入国在留管理局に出頭して行わなければなりません。
・在留資格認定証明書交付申請の手数料は無料ですが、在留資格変更許可申請又は在留期間更新許可申請については、許可時に4,000円が必要です。
登録支援機関に必要な書類の一覧こちら
*2 登録支援機関=特定技能所属機関に委託されて、特定技能外国人の支援計画の作成・実施をおこなう機関
第4節 特定技能外国人の受入れ後に特定技能所属機関等が行う手続
第1 特定技能所属機関
〇 特定技能所属機関が特定技能外国人を受け入れた後に行わなければならない届 出の概要は,別紙4のとおりです。 第2 登録支援機関 〇 登録支援機関が支援業務を開始した後に行わなければならない届出の概要は,別 紙5のとおりです。
第2 登録支援機関
〇 登録支援機関が支援業務を開始した後に行わなければならない届出の概要は,別 紙5のとおりです。
第3章 在留資格「特定技能」 第1節 「特定技能1号」
第1節 「特定技能1号」
1号特定技能外国人が就ける仕事は特定産業分野の業務であり、その分野に対する実務経験等があり、試験を通過したもののみ。
また、特定技能1号の在留資格を取得した外国人は、在留カードとともに、下のような内容が記載された『指定書』が交付されます。
第2節 「特定技能2号」
2号特定技能外国人が1号特定技能外国人が就ける仕事と同じく、特定産業分野の業務であるが、1号よりさらに熟練した技能を要する業務である必要があります。
特定産業分野における熟練した技能とは、長年の実務経験等による熟練した技能、また分野別運用方針 及び分野別運用要領で定める水準を満たすものをいいます。
なお、平成31年4月1日現在で「特定技能2号」による外国人の受入れが可能 となるのは「建設分野」と「造船・舶用工業分野」の2分野となっています。
「特定技能2号」は「特定技能1号」よりも高い技能水準を持つ者に対して付与される在留資格ですが、当該技能水準を有しているかの判断は、あくまで試験の合格等によって行われることとなります。
よって「特定技能1号」を経れば自動的に「特 定技能2号」に移行できるものでもなく、他方、試験の合格等により「特定技能2号」 で定める技能水準を有していると認められる者であれば、「特定技能1号」を経なくても「特定技能2号」の在留資格を取得することができます。
許可がされる場合には、在留カードとともに、次の内容が記載された指定書が交付されます。
第3節 複数の特定産業分野の業務に従事する場合の取扱い
特定技能外国人が、複数の特定産業分野の技能水準及び日本語能力水準を満たしている場合、その外国人は複数の業務に就くことができます。
在留諸申請における各申請書の所属機関作成用1の「2 特定技能雇用契約(2)従事すべ き業務の内容」欄を3つ設けていることから,複数の特定産業分野の業務に従事させることと する場合には,主に従事することとなる特定産業分野の業務について記載欄の最上段に「主たる分野」と記載した上で当該特定産業分野名を記載し、それ以外の特定産業分野の活動を2段目以降に「従たる分野」と記載した上で当該特定産業分野名を記載してください。
特定技能1号2号の説明を詳しく知りたい方はこちら:特定技能とは? 特定技能1号・2号とは?【わかりやすく解説】
次回は【中編】をお届けします。
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外国人のプロを日本に紹介することが、私のミッションであり、宿命である