【日本のカジノ・IR】現状と海外と比べた問題点
2019年6月20日木曜日
今回は現在IRがどこまですすんでいて、どのように進展しているのか、海外との違いを交えてご紹介しようと思います。
来週6月28日、29日にG20が大阪で開催されますが、各メディアで報道されていることが、『大阪の人たちはこのような世界中の行政の人が来ることに慣れていない』ということ。
東京は日本の中心都市であり、このような大掛かりな行事に慣れている一方、はっきり言って大阪そのものも、大阪人も慣れていません。
大阪の吉村市長は「サミットは初体験。いろいろ壁もあると思うが、成功させよう」と発言していました。
ただ、大阪も負けていないものが1つあります。
それは『外国人観光客への対応』。大阪はただいま観光客の人数が日本で第一位です。
大阪では訪日外国人の対応に慣れているところが多くあり、外国人への対応、またハラールなど宗教への対応も他県に比べ積極的に取り入れてる部分が多数あります。
IRはそもそも外国人観光客を呼び入れ、経済効果を目的としています。
IRに『賛成』していても『反対』でも、2020年半ばからスタートされる予定のIRは必ず実現されます。(2020年に間に合うか間に合わないかは別として)
今回は現在IRがどこまですすんでいて、どのように進展しているのか、海外との違いを交えてご紹介しようと思います。
・IR立候補地
今現在、IRに名乗り出ているところは以下の9つ。
1:北海道 苫小牧
2:東京 お台場
3:千葉 幕張
4:神奈川 横浜
5:愛知 常滑
6:愛知 名古屋
7:大阪 夢洲
8:和歌山 マリーナシティ
9:長崎 佐世保
申請を予定:大阪府、和歌山県、長崎県、静岡県
申請を検討中:北海道、千葉市、東京都、横浜市
申請は未定:名古屋市
日本のカジノには各自治体の合意が必要です。
大阪市のIR誘致の概要はこちら:大阪市ホームページ
・海外のカジノ(例:スペイン)
わたしはカジノ一家で育った人で、父親はスペインでカジノを経営し、数十年に渡りテーブルでもフロアでも仕事をしていました。
例えば、スペインなら、県ごとにカジノを運営するためのライセンスが異なります。
マドリッドで1つ、バスク地方なら3県あるから3つ、というように県ごとにライセンスがあり、マドリッドで運営するならマドリッドのライセンスをとる、他の場所でやるならその県のライセンスを取得しなければ、カジノをオープンすることはできません。
日本でいうなら大阪でやるなら大阪のライセンスをとる、北海道でやるなら北海道のライセンスをとる、というイメージ。
ただ、日本は全県ではなく、3つの県でのみでのカジノの開催になる予定です。
どこでカジノが行われるかわからないのに、立候補しているオペレーター(運営社)も困るし、どこにいけばいいのかわからない、どこに事務所を置けばいいのかもわからない、それゆえ本腰が入らないという状況です。
日本では無理だとは思いますが、国は1つなので、法律が決まったら全ての市がやる権利があるということにしないといけません。
しかし、IRも実際政治ゲーム。
もちろん法律の世界なので、政治が絡みます。ただ、政治がなんのためにあるかというと人の生活を豊かにするためにある。(建前上ではありますが)
・海外に無くて日本にはある問題点
例えば日本という海外のカジノにわざわざ出向き、お金をかける人に対して、ディーラーが指示を出す場合、何語でしょうか?
もちろん『英語』です。
まずはお客さんにその指示を理解してもらわなければなりませんが、
カジノ学校に行って、例えばTOEIC990点を持っていたとしても、日本人でできる者はいません。
ディーラーにニュアンスが通じない、ましてやカタコトの英語を話されて、大金をかけに来ている外国人(お客さん)は納得がいくでしょうか?
それこそ映画でよく見るような喧嘩が勃発することも容易に想像できます。
ここは外国人を雇うというのが避けては通れません。
日本人をトレーニングする学校もいいけれど、そこでどれだけの英語力を鍛えられるのか、技術+『本物の』英語力が必要となる日本のカジノでは、生半可な英語力では通用しません。相手がお金をかけに来ている外国人だから。
早々にカジノ(もしくは賭博)の世界で経験した外国人ディーラーを日本に呼び込むことが先決です。
また、ひと昔前はある程度、カジノごとにルールを決めることもできましたが、今現在は世界的にカジノというのは極めて監視が厳しくなっています。
それこそ監査委員会があったり、カジノに特化した警察がすべて専用のカメラを置いて監視していいます。
日本もおそらく、これらのようなルールに関してはちゃんと管理をするとは思います。
これだけ監視を厳しくする理由の一つに、海外ではカジノで大金をかける人は、カジノ自体にお金を置いて帰るということをします。海外からのお客さんは、1億円をカジノに預けて、再度来た際にその中から1000万円をかけたりします。
海外ではみんなそうしています。
例えば誰かが5億円儲けたとし、儲けたお金を国へ持って帰るとなると、すぐに狙われたりなど、いろんな犯罪に当たるケースが発生するので、一旦カジノにお金を置いて、また後日来た際にそのお金を使うというケースがザラにあります。
このようなことは海外では普通ですが、これを日本でもするとなると、カタコトの英語で対応できるものではありません。
それこそ問題が勃発し、一気に信頼もなくし、IRを作った場所も更地になることも目に見えています。
IRを決めるという枠組みは大切ですが、やりだしてからの運用のことを考える必要があります。
今の所はまだ誰がやるのかも決まってもいないし、このような話をすることは早いという人もいるかもしれませんが、結局何が言いたいかというと、いろんなカジノ学校ができていってはいるけど、上記の理由で、日本でのカジノのスタッフには少なくとも半分のフロアスタッフは外国人で埋めないと難しい、ということ。
なぜなら日本人が英語ができないから。それだけです。
ホテルで問題になったお客さんをさばくのと、カジノで問題になったお客さんをさばくのと、次元がまったく違います。
下手したら、その人の生活に関わるトラブルが起きます。
日本は今の所、ギャンブル依存症、地域に変な人がくるなどの治安の問題とか、マネーロータリングなど、そこら辺の心配ばかりをしていますが、どちらかというとそれ以前に上記の問題点を考えたほうがいいのではないでしょうか。