技能実習制度の「監理団体」とは? その「送り出し機関」とは?
2018年12月15日土曜日
「技能実習制度めっちゃちゃんとしてるのに、問題なるのなんでやねん!」と突っ込みたくなりますが、ここまでちゃんと制度を作っておきながら、なぜ技能実習生問題が起きるのかがナゾでしかありません。
*この記事はイザナウを運営している株式会社アクティブゲーミングメディア(130人中6割が外国人社員)のスタッフによって作成されています。
外国人労働者の受け入れ拡大が決定しましたが、今現在でもよくメディアで取り上げられる
「技能実習制度」
技能実習制度によって日本にくる外国人はいったいどのような経緯で日本にきているのでしょうか。
どこの誰が日本に技能実習生を日本に送り、日本に送られてきた技能実習生をいったい誰が日本で管理しているのか、分かっているようで分かっていないこの流れを、今一度確認してみましょう。
*ちなみに余談ですが「監理団体」と「管理団体」はどう違うのでしょうか?
コトバンクによると「監理団体」とは
2: 技能実習生の技能等習得活動の監理を行う非営利団体。
とあります。
『管』は、物や場所に使われ、数理的、作業的、文書的な「処理区分」です。
管理…管轄、管制、管区、
「ゴチャゴチャしたもの」を管に通し、スッキリ流します。
『監』は、人や組織に使われ、指導や技能的な「鑑みる」ことです。
監理…監査、監督、監視、監別
「それが何かを」を、ジーッとよく見て、助言を与えます。
ですので、「監」理団体なのですね。
記事目次
【日本の監理団体】
1:監理団体は何をする団体?
日本の企業が「外国人技能実習生を雇用しよう!」となった場合、日本の監理団体を利用して雇用する場合(団体監理型)が多いです。
ごく一部、海外からの送り出し団体から直接企業が技能実習生を雇用する場合(企業単独型)もありますが、それは全体の3.6%のみです。
『監理団体=派遣・紹介会社みたいな感じ』とイメージしていだいたらわかりやすいかもしれませんが、派遣・紹介会社と違うところがあります。
それは監理団体は非営利団体ということ。
(他にも監理団体になる条件がいくつかあります。詳しく知りたい方はこちら:厚生労働省 監理団体の許可)
この監理団体の役目としては、技能実習生を海外からお預かりし、企業の元に行った技能実習生がちゃんと「技能実習」を行えているかどうかなどのチェックや指導をしている団体です。
2:日本の監理団体はいくつあるの?
監理団体は、全部で合わせてなんと2380団体もあります。(平成30年12月10日現在)
少しややこしい説明になりますが、
ちなみに監理団体は「一般監理事業を行う団体」と「特定監理事業を行う団体」の2種類があります。
一般監理事業を行う団体 : 1029団体(平成30年12月10日現在)
特定監理事業を行う団体 : 1351団体(平成30年12月10日現在)
「特定監理事業」とは、第1号団体監理型技能実習(*1)または第2号団体監理型技能実習(*2)のみを行わせる団体監理型実習実施者について実習監理を行う事業
「一般監理事業」とは、特定監理事業以外の監理事業をいいます。一定の要件を満たした優良な監理団体として第3号団体監理型技能実習(*3)を行わせることができます。
*1 「第1号団体監理型技能実習」で行うことができる活動は、監理団体が行う講習による知識の修得活動と、実習実施機関との雇用契約に基づいて行う技能等の修得活動です。
*2 「第2号技能実習」で行うことができる活動は、「第1号の実習で修得した技能等に習熟するための、 法務大臣が指定する実習実施機関との雇用契約に基づいて、 当該機関において当該技能等を要する業務に従事する活動」とされています。
当然ながら「第2号技能実習」への在留資格変更申請は、第1号の実習のための資格で在留していた者に限られます。
*3 第3号技能実習へ移行するためには、実習生が第2号技能実習で設定した目標=各職務についての3級の技能検定、又はこれに相当する技能実習評価試験の実技試験に合格することが必要です。
(以上のものは改正案で変更になる可能性があります)
監理団体2380団体、全ての資料をチェックしたい方はこちら:厚生労働省 監理団体一覧
3:監理団体の役割は?
役割は3つあります。
①技能実習生が企業で適切な業務(技能実習)につけているかどうかを監理、指導すること
②正しい技能実習制度を世の企業、送り出し機関に周知させること
③技能実習生を雇用した企業を3ヶ月に1度監査し、それを入国管理局に報告すること
「めっちゃちゃんとしてるやん!!」
とつっこみたくなりますが、以上が日本の技能実習生を「監理」する「団体」です。
画像出典:JITCO
【海外の送出機関】
1:海外の送出機関とは?
その名の通り、海外から技能実習生を送り出す機関です。
海外で技能実習生を募集し、技能実習生を必要としている日本企業と合致した場合、契約をしている日本の監理団体に技能実習生を送り出します。
(いわゆる非営利団体の派遣団体みたいなものですね)
JITCO(*1)では各国の政府が認定した送り出し機関を紹介していて、日本の監理団体はその認定した機関と契約するよう促しています。
理由としては、日本の監理団体と海外の送出機関の間での金銭のやりとりは一切不可ですし、やはり不正をおこなう送り出し機関、日本の監理団体と連携をうまくとれずに、結局技能実習生を送り出せずじまいとなってしまうケースもあります。
*1 JITCOとは
公益財団法人 国際研修協力機構(略称:JITCOジツコ)は、外国人技能実習・研修制度の円滑な運営・適正な拡大に寄与することを事業目的とし、法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の五省共管により、1991年に設立された財団法人です。2012年4月に内閣府所管の公益財団法人に移行しました。
技能実習制度全般に関する監理団体・実習実施者・送出機関等の制度関係者への総合的な支援機関として、セミナーの開催、個別のご相談、教材等の開発・提供などの各種支援サービスを行うほか、監理団体の監理責任者や実習実施者の技能実習責任者の方々に対する、主務大臣からの告示を受けた養成講習機関として、養成講習を実施しています。
JITOROホームページはこちら
2:送り出し機関はどこの国にあるの?
現時点でですが、
インド、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、中国、ネパール、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、ペルー、ミャンマー、モンゴル、ラオス
送り出し機関一覧はこちら
【まとめ】
以上日本の監理団体と、海外の送り出し機関について簡単にですがまとめてみました。
正直ここまでちゃんと制度を作っておきながら、なぜ技能実習生問題が起きるのかがナゾでしかありません。
「ちゃんと管理していなかったんだろう」と言ってしまえば終わりですが………
日本から技能実習制度というものが無くなるのかどうか、そのまま継続して続けるのか、今は私たちにはわかりませんが、技能実習制度がある限りは日本の監理団体は「監理、指導、周知、監査、報告」という役割をきっちり果たし、海外の送出機関との連携をしっかり取るということをおこなって行って欲しいと切に願います。
人材でお困りの方はお問い合わせください:michi.tanaka@izanau.com
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外国人のプロを日本に紹介することが、私のミッションであり、宿命である