外国人労働者が感じる日本で働く6つのメリット
2019年1月21日月曜日
受け入れのメリット・デメリットは様々に考察されていますが、実際に働いている外国人の側はどのように感じているのでしょうか。
少子高齢化による労働力不足から、日本で働く外国人労働者は、右肩上がりで増加しています。受け入れのメリット・デメリットは様々に考察されていますが、実際に働いている外国人の側はどのように感じているのでしょうか。
出身国や就労している業種や職種、地域によって差はあるでしょうが、実際に何人かの外国人労働者からの声を聞きながら、共通する意見をご紹介します。
*ただし、日本に来てすぐの外人、または日本で仕事を探している外国人の感じるメリットです。日本で長期間仕事している外国人には当てはまらない場合があります。
メリット1:健康保険で医療費をカバーできる
外国人労働者であっても、給与額によって定められた保険料を支払い、日本人社員と同様に健康保険に加入することができます。
保険があることで、高額の医療費を心配しないで診察や治療を受けることができるのは、大きなメリットとして受け止められています。
アメリカから来たジェインさんは、会社の健康診断で、病気の初期症状が見つかり、簡単な手術を受けました。
ジェインさんの実際の言葉
「健康診断という習慣はアメリカにはないので、最初はプライバシーの侵害ではないか、と少しネガティブな印象を持っていました。でも、そのおかげで病気が見つかり、早期の処置を受けることができて助かりました。アメリカは日本のような健康保険がないので、このような制度は本当にありがたいと思います」
メリット2:通勤手当が支給される
外国では従業員に対して通勤手当を支払わない会社の方が一般的です。
それに対して日本では、正規ばかりでなく、パートタイム労働者に対しても、会社側が交通費を負担することがほとんどです。
この通勤手当に対して、多くの外国人労働者がメリットだと感じています。
メリット3:雇用が安定している
正社員の場合にのみ当てはまることですが、一般的に日本では、従業員側に明らかな違反行為などがない限りは、会社側が従業員を解雇することはほとんどありません。
正規社員である外国人労働者の多くは、日本の会社で安定して働けることに満足感を抱いています。
ある会社で経営危機に陥った経験を持つクレイグさんは、日本の会社が外国人である自分を含め、誰も解雇せず、人員の移動と新規採用を一時凍結することと内部のコストカットで乗り切ったことを高く評価しています。
「私たちはチームの一員であると強く感じました。アメリカであれば、おそらくスケープゴートを探し、その人に責任を押し付けて解雇したでしょう」
メリット4:トップクラスの顧客サービスを習得することができる
日本の顧客サービスが、世界でもトップクラスであることは、広く知られています。
日本に定住して働く外国人の多くが、帰国した時に、母国の顧客サービスの悪さにショックを受けると言っています。
安い買物しかしない顧客に対しても、高額の契約を取り交わした顧客に対しても、同様の丁寧なサービスと顧客ケアを行う日本のサービスは、類を見ないものです。
顧客を「特別扱いされている」という気分にさせたり、決めかねている顧客に対しては、相手の言い分に耳を傾けたり、
単純に「ありがとうございます」と言ったりするだけでも、結果的にで大きな違いを生むことが日本で働くことを通してはっきりと理解されるようになります。
時に厳しいトレーニングを窮屈だと感じる人もいますが、日本式サービスを学び、実践することを通して、ビジネスマナーや話し方を身に付け、今後のビジネスに活かそうと考える人は多くいます。
メリット5:OJTを熱心に行ってくれる
外国人労働者の多くは、
OJT(On-Job-Training:社員育成のための職業訓練)
が非常に熱心に行われていると感じています。
日本のメーカーで3年間、技能実習生として技術を身に付けた後、インドで部品工場を起業したサイさんは、
「日本人は、顧客に提供する商品やサービスは、非常に高い質が高いものでなければならないと考えているために、私たち外国人労働者に対しても、高い技術を備えたその分野の専門家になれるよう、技術と知識を与えてくれた」
と感謝しています。
来日目的が「お金を稼ぎ、本国に仕送りしたい」ということに留まっている外国人労働者も少なくないでしょうが、
「日本で習得した技能を将来活用したい」という明確な目的を持っている人にとっては、トレーニングを熱心に行っている会社をありがたいと感じているようです。
メリット6:一生懸命頑張れば、評価してくれる
外国人労働者の目から見ても、日本人は非常に勤勉です。
そしてまた、同じように勤勉に働くことを自分たちにも求めている、と感じています。
先に挙げたクレイグさんは、アメリカと日本の企業文化を比較して、このように言います。
「”Kaizen”(改善)という言葉は品質管理の用語として外国でも使われていますが、日本ではそれをもっと広い意味で使います。
様々な分野で計画を立て、実行するだけでなく、そのプロセスでどのように改善されているかを重視しているのです。
アメリカではタスクが達成されるかどうかが何よりも大切ですが、日本ではタスクが達成されても達成されなくても、反省して学ぶ機会ととらえられています。
従業員も改善すると考えているのです」
まとめ
保険や手当、職業訓練など、外国人労働者がメリットだと感じていることの多くが、会社側にとっては負担となるものです。
しかし、外国人雇用を機に、トレーニングプログラムを作成したり、学習機会を設けることによって、日本人従業員自身の成長の機会にもつながるはずです。
意欲が高く、向上心のある外国人労働者を受け入れ、積極的に指導と訓練を行うことを通して多くの職場は活性化することが期待されます。
作者:小坂井さと子
編集:イザナウ